寂しがりやの猫
「でね、今日、田村くんと13課の村野さんと三人でオムライス屋さんにランチに行ったんですけど」

「うん」

「私、注文を間違えて余り好きじゃないのを頼んじゃったんです。 それで嫌々食べてたら、田村くんが じゃあ俺のと半分こしようって。

普通 言います?好きじゃない子に半分こしよう、なんて!」

結城は 凄く興奮して話している。

私も惨めついでにテンションを合わせ、そりゃ絶対気があるよー と言ってあげた。


― 可愛いな… オムライス半分こか。 そんなのが似合って羨ましい。

私なら 黙って食べるだろうな。苦手だなんて 誰にも気づかせない。 可愛くない女だよな。


なんとなく 判ってきた。

結婚出来る子っていうのは 誰かに何かして貰わないと生きていけないような頼りなさがあるのかも…

私には 多分それは無いんだろう。

だから 今まで 一人で来てしまった。


暫く結城の田村話を聞いて店を出た。

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