寂しがりやの猫
「だ、だからって別にアンタに貰って貰わなくてもいいんだからね!」


言い放って席を立った。


あー もう自分の口が憎い…

憎まれ口しか出てきやしない…。

なんでなんだろう。

トイレの鏡を見ながらひきつった顔をマッサージしてみた。

「あ、中河原さん!」
個室から結城が出てきて弾むような声を掛けられた。

「あ、千里ちゃん」

「マッサージですか?私もやってみようかな」

クイクイと頬を押す姿も可愛い。

「千里ちゃんは 必要ないでしょー。こんなにぷりぷりなのに」

頬に触れてドキリとする。

本当にぷりぷりしていて張りがある。

顔に続く首筋も胸も腕も きっと身体中がぷりぷりしていて水なんかもめちゃくちゃ弾くんだろうな。


田村もこんな躰を抱いたら 絶対に離さないだろう。


私が男だったら絶対に離さない。

「千里ちゃん」

「はい」

誰もいなかったが小声で耳元に言った。

「早く抱かれちゃえば?田村に」

「えっ!!な、なんで 急にそんな…」


結城の顔は耳まで 真っ赤になり オロオロしている。

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