寂しがりやの猫
その後は 妙に吹っ切れて 美味しいランチを食べて 下らない話をした。

デザートを食べ終える頃、市川が不意に真面目に私に聞いてきた。

「あの、仲澤課長とは どういう関係なんですか」


田村も 黙って聞いている。


「ああ。元カレだよ。入社したばっかりの頃付き合ってたの。で、向こうが転勤になって大阪に行って、バツイチになって戻って来たから」


「また口説かれてると」

田村が口を挟んでくる。


「別に口説かれてない」


「口説いてなかったら あんなに必死になって走りますかね」


「あ… 見てたの?」

「偶然ですけど」


「だからって別にどうでもいいでしょ。田村には関係ない」

「俺には 無いですけど」


市川は ちょっと泣きそうになっている。

「あー 別に 元サヤになった訳じゃないから。泣かないでよ。田村も下らないこと言わないの」


「下らないこと…ですか」

「何よ」


「結婚したいんでしょう。明日にでも」


「……」


やけにつっかかるな…
私は 田村をじっと見た。
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