寂しがりやの猫
男女七名ほどで カラオケボックスに入った。

最近は あんまり声も出ないし、カラオケには とんと来ていない。

私は 保護者のような気分で 若い子達の今時の歌を ぼんやり聴いていた。

不意に視線を感じて、そちらを見ると 市川という隣の課の男の子がこちらを見ている。

私のスカートの裾や、ちょっと開けた胸元をチラチラと気にしているようだった。


― あー この子も歳上とヤりたいタイプか…

大したルックスでは 無かったが、20歳近く若い男の子なんてエッチしたことが無いし、もしかしたら童貞かもしれない。

そんな風に考えると ちょっと いいかな…と思い出した。


その時。


いきなり 聞き慣れた懐かしいアイドルの曲のイントロが流れ出した。


~♪~


「うわ、懐かしい!」

見ると 田村がマイクを握っている。

―え~ 田村 歌えんの?


歌が 始まって 驚いた。


むちゃくちゃ上手いや~ん!


田村は 身振り手振りを交えながら ノリノリで歌っている。


みんなも 大盛り上がりで 歓声を送っている。


― 愉しいっ!!

私も みんなに混じって 盛り上がった。

< 9 / 214 >

この作品をシェア

pagetop