寂しがりやの猫
風呂に入った後、宴会が始まった。


私は 料理が目当てなので お酌は 若い女のコ達に任せて 料理に箸を付ける。

盛り付けも秋らしく上品な味付けだった。

松茸の土瓶蒸しを堪能していると、不意に 西原がやってきて 私の肩に手を回した。

「相変わらず 奈都はよく飲むなあ」


普段は クールな西原が 酒のせいで大胆になっていた。

「ああ、西原課長。美味しいですよ。土瓶蒸し」


私が言うと西原は 耳元に口を寄せてきた。
「俺の松茸も堪能するか」


「……」


呆れて言葉が出てこない。

全く男ってどうして酔っ払うと こう下品になるんだろ…


他の場所を見ても 若い女のコの肩を抱いたり、太股に手を滑らせる親父ばかり…


「はあ… それは 昔、堪能したんで 今日は こっちでいいです」


私が答えると、参ったなあ!と西原は ゲラゲラ笑いながら去っていった。
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