寂しがりやの猫
トイレに行き、戻る途中で田村とバッタリ逢った。


「お疲れさま~」

軽く声をかけて 行こうとすると、不意に腕を掴まれた。

ちょっと酔っているようで 目が赤くなっている。


「中河原さん」


「なに」


「酔いざましに散歩しませんか」

「……」

黙っていると強引に玄関に連れて行かれた。

「行きましょう。早く下駄履いて下さい」


仕方なく下駄を履いて外に出る。

さすがに夜は少し冷えて 羽織をキュッと合わせる。


「寒いですか」

「ん、ちょっとね」


すると田村は 急に私の肩をぐっと引き寄せた。

「え」


「まだ寒いですか」


「あ… 大丈夫」

田村に肩を抱かれたまま 暫く歩いた。

ドキドキして、寒いどころか 暑いくらいだった。


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