風の行方
「どひぇーっ!あんたあの爽やか前田くんをフッたの!?」
なんとか授業には滑り込んで、柔軟体操なんかをしていた矢先に、明さんが大きな声で言った。
回りにいた女生徒達も、それにつられる様にしてザワザワと騒ぎ始める。
「……いや、つーか爽やか前田くんって誰ですか」
「爽やか前田くんぐらい知っとけ、お馬鹿っ」
「あたっ」
もはや興奮状態に陥ってしまってるらしい明さんが私の頭を殴った。イテエ。
反射的に頭を抱えた私は意味が解らずに顔を歪める。
「てゆかどうして私に告白した人が爽やか前田くんだって解るんですか」
一番の疑問を口にすれば、明さんはサラリとこんな答えをくれた。
「あのね、爽やか前田くんが今日あんたに告白するってことを知らなかったのはこの学園内であんただけ。みーんな知ってたわよ。そして事の成り行きを黙って見てたわよ。尚且つ予想してたわよ。ヨッシャ、千円儲かったっ」
「……は?」
人の恋路を利用して何を…何を賭けなんざしているんですか明さん。
しかもいまいち確信に迫りきれていない気がするのは私の気のせいだろうか。私は眉間の皺を更に深くした。