桜ものがたり
守り人
光祐さまが都に戻り、祐里は、女学校への入学準備で慌しい日々を過ごしていた。
文彌からは、執拗なまでに恋文が届けられた。
心配する旦那さまと奥さまの厚意で、祐里は、森尾の車で女学校に通学する
ことになった。
入学して一月経った女学校の帰りに、祐里は、図書館へ立ち寄った。
窓の外では遅咲きの桜の花弁が陽射しの中で舞っていた。
探していた本に背伸びしてやっと手が届いた祐里の背後から、
星稜高等学校の制服姿の男子がすっと本を取って渡してくれた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
祐里は、長身の男子を見上げてお辞儀した。
「難しい本を読むんだね」
優しい視線が注がれた。
「先生が薦めてくださった本でございますの」
祐里は、光祐さまの他に優しく話しかけてくる男子に出会ったことがなく、
心臓がドキドキする不思議な気分を感じながらお辞儀をして、貸出受付へ
向かった。
文彌からは、執拗なまでに恋文が届けられた。
心配する旦那さまと奥さまの厚意で、祐里は、森尾の車で女学校に通学する
ことになった。
入学して一月経った女学校の帰りに、祐里は、図書館へ立ち寄った。
窓の外では遅咲きの桜の花弁が陽射しの中で舞っていた。
探していた本に背伸びしてやっと手が届いた祐里の背後から、
星稜高等学校の制服姿の男子がすっと本を取って渡してくれた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
祐里は、長身の男子を見上げてお辞儀した。
「難しい本を読むんだね」
優しい視線が注がれた。
「先生が薦めてくださった本でございますの」
祐里は、光祐さまの他に優しく話しかけてくる男子に出会ったことがなく、
心臓がドキドキする不思議な気分を感じながらお辞儀をして、貸出受付へ
向かった。