桜ものがたり
「祐里さん、探しましたのよ。あら、どなたでございますの」
奥さまが祐里を見つけて側に歩み寄り、祐里の手を握る柾彦に目を留めた。
奥さまは、遠慮深い祐里が殿方と手を取り合っている姿に目を丸くした。
「はじめまして、桜河の奥さま。鶴久病院の鶴久柾彦と申します」
柾彦は、突然の奥さまの登場で、驚いて祐里から手を離した。
はきはきと快活に自己紹介をしながらも、噂に聞く通りの麗(うるわ)しい
奥さまに見惚れていた。
「星稜高等学校にお通いの方で、先日、図書館と美術館でお会いしましたの」
祐里は、柾彦から慌てて手を放し、奥さまに誤解されはしないかと
心配しながら、出会いの経緯を申し添えた。
「桜河薫子でございます。鶴久病院は、ご立派な病院でございますわね」
奥さまは、頬を染める祐里に目を細め、はきはきとした柾彦に好感を持った。
柾彦と祐里の淡い恋心が微笑ましく感じられた。
「ありがとうございます。
桜河の奥さまにそのように病院を誉めていただけましたら、父母も喜びます」
柾彦は、奥さまの美しい気品の前にも臆することなく返答した。
奥さまが祐里を見つけて側に歩み寄り、祐里の手を握る柾彦に目を留めた。
奥さまは、遠慮深い祐里が殿方と手を取り合っている姿に目を丸くした。
「はじめまして、桜河の奥さま。鶴久病院の鶴久柾彦と申します」
柾彦は、突然の奥さまの登場で、驚いて祐里から手を離した。
はきはきと快活に自己紹介をしながらも、噂に聞く通りの麗(うるわ)しい
奥さまに見惚れていた。
「星稜高等学校にお通いの方で、先日、図書館と美術館でお会いしましたの」
祐里は、柾彦から慌てて手を放し、奥さまに誤解されはしないかと
心配しながら、出会いの経緯を申し添えた。
「桜河薫子でございます。鶴久病院は、ご立派な病院でございますわね」
奥さまは、頬を染める祐里に目を細め、はきはきとした柾彦に好感を持った。
柾彦と祐里の淡い恋心が微笑ましく感じられた。
「ありがとうございます。
桜河の奥さまにそのように病院を誉めていただけましたら、父母も喜びます」
柾彦は、奥さまの美しい気品の前にも臆することなく返答した。