夢想・連想・妄想
麦秋
あれは小麦だったかもしれないが
数本の麦の穂を
デザインした君の絵が
確か何かの賞をとったんだね

全体が渋い赤で
統一されていたような記憶がある
高校1年生の時だったかな
両手をスカートのポケットに入れて
いつも俯いてはにかんでいた

けっして高笑いしなかった
話し方はボソボソと小声
そんな君だから
君が絵を描いて受賞したなんて
信じられなかった

いや・・・今ならこう思う
そんな君だから
絵を描くようになったんだね
麦の絵や画像を目にすると
きまって君のことを思い出す

君はあれからも
絵を描いていただろうか
どんな絵を描くようになっただろうか
家族は出来ただろうか
幸せだろうか・・・
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