【短】半透明な愛を捧ぐ
真実は真夜中で
無事にお婆ちゃんのお葬式が終えた、けれどまだちゃんと食べられない。
そして最近夢を見ない。と、いうかあまりに寝れていない。
…やっぱ、あれ見ちゃったからかな。
あたしは瞼を閉じて、こないだのことを思い出した。
──あたしは、夜中、喉の乾かさで起きて階段降り終えた時、話し声が聞こえた。
耳を澄ますと、口調から喧嘩ではないことが分かった。
『…お婆ちゃんが言ってたのは、嘘じゃないかもしれないわ』
『まだ決まったわけじゃないだろう』
『でも……なんでお婆ちゃんが里依南の名前を“り”にこだわったのか分かった気がする』
突然の自分の名前に思わず、目を見開いた。
『…なんか、ロマンチックね。いいじゃない』
『いいものか…!そいつとまた同じようなことになったらどうするんだ…』
父は少し大きな声を出したが、最後の方は弱々しかった。
…なんの、話をしてるの?
『そうね。そうえば、お婆ちゃんがこの日記に貼ってある紙を里依南に見せるなって言っていたけど、どうやらなくなっちゃったみたいね』
あたしはこれを聞いて、音を立てないように上に上がった。
なんだか母があたしが聞いてるのを知っているみたいで。
──それから、何度その紙を見ても、何も見えない。
なんで、これをお婆ちゃんを見せたくなかったんだろう。