【短】半透明な愛を捧ぐ
「…里依南、」
「お腹空いていない」
呆れたようにため息をつく母。
そりゃそうだ。もう一週間も経っているのだから。
「お粥でも駄目なの?」
「………、」
無理矢理、口にお粥を放り込んでみる。
「う、げほっげほっ」
洗面所に行く前に、その場で吐き出してしまった。
「…ごめんね。無理させちゃった」
申し訳なさそうにあたしが吐き出した物を拭きながらそう、言った。
…謝るのは、あたしの方なのに。
「ごめん、なさい、我が儘で…」
「いいのよ。寝不足なんでしょ?だったら横になって」
横になると余計に悪化するかと思ったけど、意外にも楽だった。
──それでもやっぱり、長い間は寝れなかった。
「どう?寝れた?」
「…少し、だけ」
そう言うと、良かったと呟いて小さく笑った。