【短】半透明な愛を捧ぐ

…なんで、泣けないんだろう。

出来れば泣いてスッキリしたい。

けどその反面、嘘だよって笑って戻ってくるんじゃないかって思ってるあたしがいる。


『なあ、この花を使って愛言葉を作らないか』

『合い言葉ですか、いいですねなんか』

『だろ?実はさっき作ったんだけどよ──』


ふと、その会話を思い出した。

…待って、これ梨吉さんが言っていたのとなんだか似てない?


一体、あたしは誰とこの会話をしたの?

必死に考えるも、本調子じゃないから上手く頭が働かない。



『…よく、思い付きますね。なんか意外と乙女思考なんですねー』

『うるせえ、文句言うなら考えろっつーうんだよ』

『すいません、良いと思います』


そしてゆっくり目を閉じた。


『──でも、男同士でって悲しいですね』

『…言うな。切なくなる』


なんで、消えないの。

目を閉じても、溢れてくるばかり。


『…ごほっごほっ…無理そうだな』

『あー、ちゃんと伝えたかったかな』


嗚呼、なんだろう。この胸が締め付けられる感じ。


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