【短】半透明な愛を捧ぐ
「うん、大丈夫」
──母が聞くのは、昨日曾お婆ちゃんのお通夜だったから。
だから昨日は、曾お婆ちゃんの若い頃の話で持ちきりだった。
曾お婆ちゃんは、少し変わってはいたけど、とても優しかった。
そして、そんな曾お婆ちゃんが大好きだったのも確かだ。
だからこそ、みんなが泣いてる中、親戚であたしだけが泣いていなかった。
そりゃもちろん、悲しい。でもなんだか実感がない。
訳が分からなくて、昨日から食べ物を口にしていない。
「…ゼリー用意したから、食べれたら降りてきて」
「うん、」
もうお腹が空きすぎて、ゼリーの匂いに釣られるように部屋のドアノブに手をかけた。
「──美味しい」
「そう、良かった…まだ食べる?」
「うん。おかわり」
まだ個体形は食べれないけど、液体状ならいくらでもいけそう。
実際、今おかわりして7個目だ。