【短】半透明な愛を捧ぐ
「ねえ、どっちがカロリー低いか知らない?」
真顔でそう聞いてきた。
……母って時々抜けてる所があるんだよな。
「ごめん、知らない」
「え!じゃあ今食べたいの…って、どっちも食べたいし…どうしよう!」
「少しずつどっちも食べればいいんじゃない?」
「あ、そっか!そうだねありがとう!」
嬉しそうに鼻歌を歌いながらりんごを切る母を横目にあたしは二階に上がっていった。
「えっとー、あったこれだ」
ようやく見つけた手紙は、やっぱりなにも見えなかった。
何度、目を細めても見えることはなかった。
諦めて、机を置いて紅茶を飲んだ。
が、勢いよく飲み過ぎて紙をぶちまけてしまった。
見事に茶色シミになっていた。
「あー…どうしよう」
──ん?なんか、シミの上になんか見える…?
そう思い、紙に顔を近づける。