【短】半透明な愛を捧ぐ
「──っ!」
それは、手紙の一部が紅茶によって浮き出たみたいで、その一部は、あたしの涙腺を崩壊させるには充分だった。
「…な、んで…っ」
シンプルだけど、直球であの人がどれほど涙を流して書き上げたことだろうか。
それが、ひしひしと伝わってくる言葉だった。
今まで泣けなかった分なのか、どんどん涙が溢れてくる。
──“あいたい”
目を細めないと見えないくらいだが、平仮名のお陰で読むことが出来た。
「…う、うえっ、」
会いたい。簡単に言えてしまう言葉だけど、言う人によってこんな違う。
あたしもお婆ちゃんに、梨吉さんに会い、たい。
お婆ちゃんには家族愛、梨吉さんは異性を想う愛だ。
もう喋っても何を言ってるか分からないぐらいに嗚咽が止まらない。
…きっと、お婆ちゃんがこれを見せたくなかったのはあたしが同じように彼に恋をして叶わないまま一生を終えてしまうと恐れたかもしれない。
あたしが、りつさんの生まれ変わりだと気付いていたから。
──深夜、あたしは部屋で泣きながら真実を知った。