【短】半透明な愛を捧ぐ
半透明な愛を捧ぐ
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「里依南、いつまでいるつもり?もうお父さん車に乗っちゃったわよ」
「だってー、まだ伝えたいことがあるんだもん」
「あんだけ来るのを拒んてたからでしょ」
図星をつかれて、何も言い返せない。
「…じゃあ、さき行ってるから早めに終わらせてよね」
「うんっ!分かった」
大好き、そう言ったら照れたように「やめてよ」と言いながらあたしから背を向けた。
──あれからお婆ちゃんの3年目の命日。
あたしは、1年目は自主的に拒んで、2年目は無理矢理バイトを入れた。
…決心がなかなつかなかったけど、今回はやっと来ることができた。
あの泣いた日から、梨吉さんは夢に現れることはなかった。
それでもあたしは2人の合い言葉を忘れずに前に進んでる。
「あたし、これからもお婆ちゃんのこと忘れないよ」
そうお墓に向かって言うと、風が吹いて桜が散った。
桜も良いけど、あたしは梅が好きだな。
「あ、そろそろ本当にヤバいかも」
すぐさま立ち上がり、お墓から背を向けて早歩きした。