【短】半透明な愛を捧ぐ
「思ったより、早かったね」
「寝ようかと思ったぞ」
2人からのアメとムチに「ごめんなさーい」とムチの方に返事をした。
「今日、親戚同士でお寿司食べるらしいんだけど、叔父さんのいとこが戻ってくるらしいぞ」
「しかもそのいとこの息子さん、イケメンらしわよー」
「ほえー、いくつ?」
あまり期待すると会ったときにショックを受けるから、あまり期待はしないでおこう。
「今年19ですって、しかも弓道で全国いったらしいわよ」
「すごいねー」
あたしの運命の人は梨吉さん以外いない。
だから、探し出してくれるまで待っているんだ。
そのあと、何か言っていた気がしたが、半分意識を飛ばしていたため、ほぼ聞こえなかった。
「…里依南?着いたよ」
「ん、もう?」
「そう、予定より早く来たみたいだから、そのまま叔父さんの家に来たわよ。って、あら?あなたすっぴん?」
「違うよ、ナチュラルメイク」
ただピンクのリップクリームに顔にクリームを塗っただけど。
髪はショートだし、前髪はセンター分けで手入れをすることがない。
「まあ、いいわ」
「…次からはお洒落メガネしてくるし」
「そんなの買うんだったら、つけまつげしなさいよ」
「やだよ、面倒くさい」
「こんにちは。梅本と申します」
しばらく歩くと、中年ぐらいの叔母さんと、隣に後ろ姿で分かるぐらいスタイル抜群の男の子がいた。