【短】半透明な愛を捧ぐ
「…確かに、イケメンそう」
「向こうでもモテモテだったみたいよ」
うん、分かる気がする。
と、何故かうきうきしながら梅本さんに母と、そしてあたしは手を引っ張られながら向かった。
父に助けを求めてたが、父は叔父さんと楽しそうに会話をしていた。
「初めましてー、赤崎と申します」
「あ、こんにちは」
諦めきれない前に、既に会話が始まっていた。
あたし人見知りの方なのに…!
ちらりと叔母さんを見ると、とても優しそうな人だった。
「…あの、そちらのお嬢さんは娘さんですか?」
「はい。ほらっ」
「こ、こんにちはー」
「可愛らしい娘さんですね。…こっちは息子の桐弥です」
「どうも、」
その瞬間、彼の目線があたしを捕らえた。
まさか目が合うなんて思わなかったから思わず目を見開いた。
…うわー、すごい。なんかモデルでもやってるのかな?
「……えっ、と、赤崎里依南です」
あたしが名前を名乗ったあとすぐに、彼の口角が少しだけ上がった気がした。
そして母と梅本さんに見えないよう口パクで何かを言った。
“前に、貴方に会ったような気がする”
──なんだか、胸が熱い。
これが、恋に変わるのはまた別の話。
end