【短】半透明な愛を捧ぐ
その後、11個目を頼んだら勘弁してほしいと言われた。
…もっと食べたかったけど、腹八分目って言うしね。うん、我慢しよう。
「ねえ、里依南。お婆ちゃんの日記の鍵知らない?」
「え。お婆ちゃん日記書いてたの…、」
知らなかった。そう思いながらポケットに手を突っ込んだら、何かが入ってることに気付く。
出してみると、ティッシュを丸めたものだった。
それを捨てようとしたら、ティッシュから何かが落ちた。
見ると、それは小さい鍵だった。
……あ、これお婆ちゃんの日記の鍵かもしれない。
それを拾って母に伝えようとして──やめた。
そっとまた自分のポケットにしまった。
「お母さん、もしかしたらあたしの部屋かもしれない」
「あ、ホント?じゃあ見つかったら開けといてくれる?」
「分かった」
しばらくして、母が離れにあるお婆ちゃんの家に行ったのを確認して、あたしは日記を持って自分の部屋に向かった。