【短】半透明な愛を捧ぐ
────…
───…
『───りつ、りつ、』
どうやらいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
相変わらず、白い光に包まれている。
「……りきちさん?」
もしかしたら違うかもしれない思って、小さく呼んでみた。
…返事がない。
やっぱり、違ったかもしれない。
『お前がいない夜は辛いんだ』
顔を見なくても、彼がどんなに辛そうな顔をしてるかが安易に想像出来た。
あれ、なんとなく顔まで想像しちゃったよ。やっぱ想像だと、イケメンになるなあ。
『こんな手紙一つじゃ、納得出来るわけない』
そしてまた一層、辛そうに声を掠れながら呟いた。
『───』
彼が何かを言った後、声を押し殺して泣いていた。
…あれ。なんで今泣いたって分かったんだろ───
その途端、視界が歪んで真っ暗になった。