【短】半透明な愛を捧ぐ
「……夢、っぽくなかった」
いつもにも増してリアルだった。
声と台詞、頭にこびりついて離れない。
けど、1つだけ思いだせない。
彼はなんで泣いていたんだっけ。
時計を見ると長い針が7を指していた。
2時間ぐらい寝ていたらしい。
しかも床で寝ていたから背中が痛い。
背中をさすりながら、着替えをはじめる。
この後はお葬式の準備の準備をしなくてはならない。
うちは代々、親戚が協力をしてお葬式をする。
そして、16から交代でお経をやるのもあって、それが今回あたし。
嫌でも聞いてきた曾お婆ちゃんのお経のお陰?で、よくやらされることもしばしば。
…確か、今年高校生になった従姉妹と一緒にやるらしい。