【短】半透明な愛を捧ぐ
「里依南ー!もう、お父さん言っちゃったわよー」
「え!今行くーっ!」
あたしは転がる勢いで、階段を駆け降りた。
「今日はそれで良いけど、明日はそれじゃ駄目よ」
「うん。分かってる」
2人して小走りで、会場である叔父さんの家へ向かった。
「…えっと、ここはあたしが言うから、後半からお願い」
「ここ?…うん、分かった」
初めてと言うこともあり、何度も真剣に質問された。
それをくり返している途中で、いきなり目の前が砂嵐になった。
き、気持ち悪い。
「あ、ねえこれ分からな……えっ!り、里依南ちゃん?!」
焦ったような高い声が聞こえたと同時に、何人かの人の声が混ざりだした。
あたしだって、倒れたくて倒れてるワケじゃないんだよー…、ああ、もう考えるのも面倒くさい。
あたしは眠るみたいに、ゆっくり目を閉じた。