不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
俺は放心状態の心を解放して、素直に疑問を口にした。
「…なんで、乃木東矢が?」
「…乃木君も先生のミスでここに来たのかな…」
「んなわけねーだろ。」
本人に聞いてみるのが一番だと思い、俺は乃木がいる部屋をノックした。
しかし返事はない。心は「あんまり関わらないほうがいいと思うけど。」と不安そうに言っている。
「別に乃木が俺達に何かしたわけじゃないんだしそんなに怖がらなくてもいいだろ。」
「怖がってるんじゃなくて、乃木君が迷惑してるんじゃないかと思ったの!」
「へえ。」
心の言葉を軽く受け流し少しだけ強くノックをする。
バリ、
するとドアに穴があいた。
これには俺も焦る。こんなに脆いなんて思ってなかった俺はドアに減り込む拳を抜いて心に視線をうつす。
「何してんの馬鹿理来!」
「こんなに脆いなんて思ってなかったんだよ!」
軽い言い合いをしているとキィ、と再びドアがあいた。中から若干眉間にしわを寄せた乃木が出てくる。
「…あ、ドア、悪ぃ。」
冷や汗が頬を流れる。謝罪をのべると乃木は口を開いた。
「何でここにいるんや。」
はじめて乃木の声を聞いた心と俺はぽかんとして彼を見上げる。
「あ、の、乃木君、わたしと理来、先生のミスで今日からここに住むことにな、って、」
「…でていけ。」
「でていっても住む場所なくて、」
「ハァ…勝手にしぃや。」
ばたん!
冷たく言い放つと乃木は乱暴に扉を閉めて部屋の中に入った。
しかしドアに穴があいてしまった為に彼の行動が見えている。
俺はぽん、と心の肩に手をおくと 俺達も部屋にはいろう と声をかけた。