不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
心は乃木東矢の部屋から二つ離れた部屋に入った。
割り当てられた場所がそこらしい。
俺は担任に道を聞いた時に教えられた部屋が202だったことを思い出し部屋のプレートを探すと心と乃木の間の部屋だと知った。
心とは実家も寮の部屋も隣かぁ。
がちゃりとドアノブをまわして入ると、室内は思ったより綺麗で安心した。
…そういえば、なんで乃木はこのアパートにいるんだろ。
先生のミスとは考えられないし。
俺なりに考えていると、「きゃあああ!」と隣部屋から悲鳴が聞こえた。
心の声だ。
俺は部屋を飛び出し隣部屋に向かう。
ノックせずに部屋を開けると部屋の真ん中で腰を抜かして座り込んでいる心を見つけた。
「心、何かあったのか?」
靴をぬぎ、彼女の元に寄ると潤んだ目で見つめてくる。
(か、かわいい…)
制服から着替える途中だったのか、ブラウスのボタンが中途半端に外れていて胸元が見えそうだった。
どっどっと、と心臓が早く鳴るのを感じながら心に問えば
彼女は小さく「でた…」と言った。
「何が?」
「お、おばけ…髪が長い女の人がいて、壁をすり抜けていったの!どうしよう理来!」
「見間違いだろ。」
「本当にいたんだって!」