不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
…まさか初授業をサボる事になるなんて思わなかった私は今だに腕を引き階段を上り続けている乃木君をみた。
階段をのぼり終えて屋上にでるとやっと解放される。
「あの…」
遠慮がちに声をかければ彼は鋭い瞳で私を見る。
「…俺があそこに住んでいること、言うな。」
言葉をぎこちなく並べながらいう彼に え? と聞き返せば表情を歪める。
「だから、あのアパートに住んでる事言うなっていってんねん。それに、俺に話しかけんほうが身の為やで。」
標準語から関西弁に変わり、冷たく言う彼を見上げた。
「…関西弁?」
無意識にでた言葉を聞き、乃木君はしまった、という表情をした。
「…俺が関西弁やて、言うなよ。」
「何で?」
「…関西弁が、嫌いやから。」
ちょっと良くわからなかったが私は大人しく頷いた。
乃木君はほっとしたように息を吐く。
まじまじと彼の顔をみたのは始めてで、すごく整っていて綺麗な顔立ちをしている事に気づき、見惚れてしまった。