不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
「…乃木君は、あのアパート…ていうか私の部屋に幽霊でるの知ってる?あ!あと何で乃木君はあそこに住んでるの?」
今から授業に出る気にはならなかった私は、チャンスだとばかりに彼に質問した。
「知らない。」
また標準語に戻った彼はそっけなく一言言った。
それに、自分のことは言うつもりはないらしい。
彼に聞きたい事は山ほどあったが自重しておこうと思った。(例えば、どうして怖がられてるの?とかその髪は染めたの?とか関西出身なの?とか。)
「…連れ出して悪かったな。」
「え、ああ、うん。」
彼はそれだけ言うと屋上を出て行った。別にわざわざ屋上まで来て話さなくても良かったんじゃないかとも思ったけど、まあいいや。
私はフェンスにもたれて座り込んだ。
ぼうっとしていると眠くなってくる。昨日寝ていなかったからしょうがない。
(ちょっとだけ、寝ようかな…)
私は静かに目を綴じた。
*
1時間目終了のチャイムが聞こえて私は起きた。目を擦り怠い体で教室へと戻る。
Cクラスを通りかかったとき、女子の集団を見つけて何かあったのかな?と不思議に思った。
「きゃー、今日も可愛い。」
「あの眠そうな顔がたまんないよね〜!」
きゃっきゃ、と騒いでいる女子の視線の先には私の幼なじみがいた。
相変わらずモテるんだなあ、と思いその場を通りすぎようとした時、「私ファンクラブ番号30なの!」という声を聞き驚いた。