不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
入学して二日目でファンクラブができるなんてありえない。女子の言葉から、既にファンが30人以上いることが予測できた。
昔からモテるのは知っていたがここまでとは…。
「でも佐倉君ってBクラスの川村と仲いいらしいじゃん。」
「まじで?」
「羨ましいなあ」
ドクン、と一瞬私の心臓が大きく跳ねた。まだ 羨ましい 程度ですんでいるならいいがこれが悪化してイジメに発展したらどうしよう。
ただでさえクラスで浮いているというのにこれ以上何か起きて欲しくない。
私は即座にその場を立ち去り自分のクラスに入った。
その時だった。
「あ、川村さん!」
私を見るなり女の子が駆け寄ってきた。
このこは確か同じクラスの、ええと、
「私、尾花薫(おばな かおり)。」
あ、思い出した。
「私に何か用?」
皆避けているのに尾花さんはにっこりと可愛い笑顔を浮かべて話かけてくる。
「Cクラスの佐倉君とは仲いいの?」
どうやら彼女は理来に気があるらしい。普段は仲がいい部類に入るのかな、と思い頷けば彼女は突然私の手を取った。
「私と友達になって!!」
動機が不純すぎる、と内心思ったが始めてクラスのこに話し掛けられ、私は舞い上がってしまい うん と言ってしまった。
一瞬シン、と静まりかえった教室からは「なんで尾花さんが…くっ…」とか「尾花さんは佐倉狙いなのかよ!俺狙ってたのに!」とかいう声があがった。
彼女は男子にモテるらしい。
「よろしくね、心ちゃん。」
と手を握ってくる彼女は女の私からみても確かに可愛かった。