不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
尾花さんが休み時間のたびに私のもとに来るようになってから、
彼女が今まで仲良くしていた子達は尾花さんと距離を置くようになっていた。
それに気づきつつも彼女はにこにこと笑顔をやめない。
私なんかと一緒にいていいのだろうか?と思ったが口にだす勇気はなかった。
私は現在、男子のアイドル的存在の尾花さんと食堂で昼食を食べていた。
嫌でも視線が集まり、居心地が悪い。
「へえ〜、心ちゃんは佐倉君と幼なじみなんだぁ。」
「うん。」
「意外だね、心ちゃんは見た目普通なのに。」
見た目関係あるのかな?ていうか、尾花さんさりげなく毒吐いてきたような…
私は鈍くない為になんとなくわかった。尾花さんは私の事を良く思っていない。
「尾花さんこそ、可愛い顔してけっこう言うんだね。」
「えへへ、そうかな。」
褒めてるわけじゃないのに尾花さんは照れたように笑った。なんだろうこのこ、良くわからない。
そういえば私のまわりには個性的な人達ばかりいるような気がする。
「私さ、佐倉君が羨ましいんだ。」
「羨ましい?」
「うん、なんの努力もしてないのにあんなに可愛くて、女の子の敵だよねぇ」
「わかる!理来はたぶん性別を間違えたんだよ!あの顔は反則だよね!!」
始めて尾花さんとわかりあえた瞬間だった。
尾花さんはうんうん、と頷いて言葉を続ける。
「だけど、可愛いから好きだなぁ。」
「…そ、そうなんだ。」
「私、可愛いもの好きなの。」
学食を口いっぱいに頬張りながら語る彼女をみて思わず苦笑した。
ごくん、と口の中に入っていたものを飲み込むと彼女は綺麗な笑みを浮かべて私を真っすぐ見た。
「けど、心ちゃんは可愛くないから好きになれないなぁ。」
私は呆気にとられて持っていた箸を落としそうになった。