不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
そんなにはっきり言わなくてもいいと思う。私だって自覚はある。
容姿は普通だし頭もそんなに良くないし。
「5時間目なんだっけ?」
何事も無かったかのように聞いてくる尾花さんに「体育だよ」と言うと、明らかに表情を曇らせた。
「体育苦手?」
「…うん、嫌い。」
「そっか。でも1番最初の体育だしオリエンテーションだけで終わりそう。」
思ったことを口にすれば彼女は不安げに頷いた。そんなに苦手なのだろうか。
それから他愛ない会話をしながら昼食を食べ終え、少し早めに更衣室にいって着替える事にした。
食堂を出るときに「あ」と尾花さんが言ったので、彼女の視線を辿ると男友達と会話している理来を見つけた。
尾花さんは私の顔と理来を交互にみて何かを訴えている。話し掛けて欲しいのだろうか。
けど私と理来は現在喧嘩っぽいものをしてしまって気まずいのだ。
話し掛けるのを躊躇っていると向こうが私に気づき、近寄ってきた。
「もう昼食食べたのか?」
「う、うん」
「そっかー」
食べて無かったんなら一緒に食おうと思ったんだけど、とまるで昨日の事が無かったかのように話し掛けてくる。
私は内心ほっとした。
昨日は少し言い過ぎたような気がして私なりに反省していたからだ。
謝ったほうがいいかな、と思い口を開いた時に私の隣にいた尾花さんが綺麗に微笑み理来を見る。
それに気づいた彼は頬をうっすらと赤くした。
「私、尾花薫。心ちゃんの友達なの。」
「ね?」と私を見てくる彼女に頷けば理来は「へえ」と呟いた。