不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
「友達できて良かったな。」
理来はほっとしたように言った。
「うわ、尾花さんじゃん!知り合いだったのかよ!」
理来の友人が尾花さんの存在に気づき、だらし無い笑みを浮かべて自己紹介しだした。
そんな彼にも笑顔を絶やさない尾花さんをみて、すごいなぁと思う。
「あ、佐倉君は好きな人とかいるの?」
上目遣いで理来を見上げる彼女は誰が見ても可愛い。わざとなのか、ちらりと胸元を見せているのが信じられ無かった。
「…え、いるっていうか…」
ちらりと私のほうをみた理来は彼女に視線を戻し、「いない」と答える。
その返答に少しチクンと心が痛んだ気がした。
「そっかぁ、そうなんだ…」
嬉しそうな表情の尾花さんをみて、何処かショックをうけたような理来の友人は「くっそ〜!」と叫んでいた。
「ああ佐倉とならお似合いだよ!美男美女で良かったな!どうせ俺はっ…」
「は?お前何言って…」
友人は理来の言葉を最後まで聞かずに逃げ出した。理来は呆れたような表情で「俺も行くよ、またな」と言い残し友人の後をおう。
嵐が去ったような気分だった。
「やっぱ可愛いなぁ、佐倉君。」
若干頬を赤らめながらいまだに理来が走って行った方向を見ている彼女に「更衣室に行こう」と声をかけた。
教室に戻り体操服を持ち、更衣室に向かう。
「あ、心ちゃん。私トイレ行くから先に行ってて。」
「わかったー」
途中で尾花さんと別れ、一人で更衣室に向かう。中に入りさっさと着替え、尾花さんが来るのを待った。