不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
もうパニック状態である。「え、と…あの、」声がうまくでてこない。尾花さんは男の子?いやでも見た目は女の子で可愛いし。
彼女は可愛いものが大好きで男子にしては可愛い理来が気になっているみたいだし、てことは同性愛者?いや、尾花さんは女の子だから…あれ?男の子だよね、あれ?
尾花さんは何事も無かったかのように接してくるし意味がわからない。
(…何がどうなってるの)
それからの授業は全く耳に入ってこなかった。
授業が終わり更衣室に向かおうとしたところで尾花さんに呼び止められた。
「心ちゃん、ちょっと体育館の裏に来てくれないかなぁ?」
体育館裏、ときいて寒気がした。もしかして殴られる?いや、でも尾花さんに限ってそんなことはない…と信じたい。
私は重いあしどりでついていく。体育館裏につき、立ち止まったと思ったら、尾花さんは突然私を壁に押し当てて両手を私の顔の横においた。
…逃げられない。
「ちゃんと口止めしとこうと思って。」
「い、言いませんから!絶対言いませんから離してください!」
無意識に敬語になっている私を嘲笑うかのように彼女(彼?)は口元を吊り上げた。
「俺、一応教師に許可もらってこういう格好してるんだよねー。」
「…え?」
「俺の親理事長だから、特別に許可がおりたの。」
「そ、そうなんだ。」
今の私にとってそういうことはどうでもいい。どうでもいいから早く解放してほしい。