不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
「俺、可愛いだろ?」
突然何を言い出すんだろう。彼は自信満々に聞いてきた。
「う、うん。」
彼は可愛い。男の子だと思えないくらいだ。理来がカッコ可愛いのに対して、尾花さんには格好良さはなく、女の子そのものという感じだった。
頷けば尾花さんは満足そうに綺麗に微笑み、 ありがとう とソプラノボイスで礼を言った。
「これからも、私と仲良くしてくれるよね?」
拒否することは許されない。私が返事に躊躇っていると彼は「返事は?」と低い声音で聞いてきた。
「…はい。」
小さくそう言えば、尾花さんは私から離れてくれた。
なんだか入学してからロクなことがない。
泣きたくなるのをこらえて、私は更衣室へと向かった。尾花さんはまたもやトイレで着替えるらしい。
今日は5時間で終了の為、もう放課である。
寮に戻ることが嫌だった私はこのあとどうやって夕食まで時間を潰そうか考えていた。