不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
それから他愛ない会話を繰り返しているうちに、高校についた。
当たり前だが、知らない顔ぶればかりで少し緊張する。
私は、人見知りするために自然と表情が強張る。
「あ、理来じゃん!!」
突然、大きな声が聞こえて足を止めた。
「翔!お前もこの高校だったのか?」
「メールで言っただろ!」
「そうだっけ?」
理来は考えこむような仕種を見せ、はっとしたように顔をあげる。
「あ、今思い出した。」
「おせーよ!」
…誰?
きょとん、と二人の様子を見ていると 翔 と呼ばれた男の子が振り向いた。
ぱち、と目があう。
「かっわいー!俺村上翔!よかったらアドレス教え「お前誰にでもそうやって絡むのやめろよな。」
がし、と両手を握りながら連絡先を聞いてくる村上君に私は思わず顔を引き攣らせた。
「え、えーと…理来の友達?」
「うん、理来とは小学校が同じだったんだ!中学は別だったけどな!で、君の名前は?」
にっこり、愛想良い笑みを浮かべて見つめてくる。
私、この人苦手かも。と内心思った。
「心、名前言わなくていいから。」
「心ちゃんって言うんだ?やばい惚れた付き合って下さい。」
冗談だとわかっていても、私の頬はうっすら赤く染まる。
そんな私をじとー、と冷たい目で見てくる理来に気づかないふりして、 村上君は面白いね と続けた。
「…はぁ。俺先に行ってるから。」
呆れたような表情をして、理来は先に行ってしまう。
「あ、待っ、」
呼び止めようとしたが、村上君に腕をつかまれてそれができなかった。