不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。

___理来サイド

ばっくん、ばっくん。俺は、心臓が壊れるんじゃないかと思った。今起きた事が信じられない。

「っ…一体、何が起きたんや…」

ずっとしゃがみこんでいた乃木が振り向く。彼は気絶している心を見て目を大きく見開いた。

「っ、川村!」

その声に俺はハッと我にかえり、気絶している心を抱き起こした。

「心、心!」

声をかけるが彼女は目を覚まさない。呼吸はちゃんとしているようで安心した。気絶しているだけのようだ。


「…俺の部屋、使ってええで。」

乃木が突然そう言った。


「…いいのか?」

「しゃあないやろ。」

こんな状況で、ほっとけるわけない。と続ける彼に感謝し、俺は心を横抱きにした。

しかし、身長的に少しきつい。見兼ねた乃木が「…俺が運ぶか?」と聞いてきたが俺は大丈夫だと言い断った。

「自分、川村が好きなん?」
「…は?」

「ちゃうの?」

突然変な事を聞いてくる乃木に俺は戸惑う。

「そりゃ、好きか嫌いかって聞かれたら好きだけど。」

「…そうか。」

「突然何なんだよ。」

「いや…」

乃木の顔を見ても、無表情で何を考えているのかわからない。



部屋をでて乃木の部屋に運び、心を彼のベッドに寝かせる。


「…さっきの、何やったんやろ。」

「…」

さっきの、と聞いて脳内に蘇るのは心が俺に迫ってきたことだった。思いだして、再び顔が赤く染まる。


そんな俺を見て乃木は呆れたような表情をした。
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