不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
時計を見れば夜中の2時を差していた。しかし、まったく眠くない。それは乃木も同じようだ。
じ、と眠る心を見る乃木がなんだか気に入らなくて俺は口を開く。
「乃木は前からここに住んでるのか?」
「...。」
彼は言いたくないのか、何も言わなかった。
「シカトかよ。」
は、と鼻で笑っても、乃木は無表情を崩すことはなかった。変なやつ、と内心思った。けど、悪い奴ではなさそうだ。
「...佐倉。」
「なんだよ。」
突然乃木から話をふられ、俺は内心焦る。
「...こんな時に言う事やないかもしれへんけど、
噂、あながち間違いでもないんや。」
「...は?」
噂?
なんのことだろう、と考えて行きついた答えに俺は叫びたくなった。嘘だろ。
「お前、こ、心の事...、」
動揺して震える声で確認しようとすると、乃木は俺を見た。
そして頷く。
「俺は、ずっと好きやった。」
頭に強い衝撃を受けたような感覚になった。
乃木が、心の事を、好き?
ずっと、好きだった?
彼の言い方は、入学する前から知っていたような言い方だった。
「...それって、恋愛感情?」
そう問えば、彼はまたもや頷く。
(なんか、嫌だ)
心にもやもやとした感情が広がる。