不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
はあー、と息をはく私の目の前に、男子に絡まれていた尾花さんが再び現れた。
「…メロンパンなら買ってこないからね。」
そう釘をさせば「男子に任せたからそれはもういいよ。」と当たり前のように言ってきた。
「心ちゃん、佐倉君のアドレス教えてくれない?」
「…尾花さん、本気?」
「酷いなあ、私は何時でも本気だよ。昨日言ったじゃん、俺は可愛いものが好きだって。だから佐倉君を俺だけのものにしたいんだ。」
危ない、このひと危ない。
「佐倉君に彼女がいるなら諦めるけど、いないってきいたしチャンスあるかな〜って思って。まあ、俺はただ佐倉君で遊びたいだけだけどね。」
「…尾花さん怖い。」
「中学の時良く言われた。」
けらけらと笑う尾花さんをみて寒気がした。とにかく理来を守らなきゃ。
「私以外にも佐倉君を狙ってる人いっぱいいるみたいだしね。」
それを聞いてちょっと、むかっとした。理来モテすぎだよ。中学のときよりすごいモテてるみたいだし、きっと女の子に言い寄られていい想いしてるんだろうなあ。
…あれ、なんかすっごいむかつく。胸のあたりがちくちくしてる。
「心ちゃん顔怖いよ。」
尾花さんに指摘されて慌てて表情をもとに戻した。
「理来、次は情報室だって〜。」
廊下から声がして視線をむければ、女の子二人が理来を呼んでいた。「今いくー。」理来が少し遅れて女の子についていく。
「…。」
「何あれ、俺の佐倉君に何してんのあの女。」
隣で嫉妬心丸出しの尾花さん。理来はきみのものじゃないよ、とつっこもうと思ったけどややこしくなるからやめておいた。
「…心ちゃん、ムカつかない?」
「え…私は別に、」
「嘘はだめだよー。いい考えがあるから協力してくれないかな?ていうか協力しろ。」
…嫌な予感しかしないんだけど。