不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
いくらなんでもからかいすぎだろうと思い、「尾花さん。」と声をかければ彼は「わかったよ。」と言って村上君から離れた。
「…村上君、大丈夫?」
「…た、」
「え?」
「惚れた…」
ぽつりと呟かれた言葉に私は目を見開く。
「恋愛に性別なんて関係ねー!尾花さん俺と結婚してください!」
村上君は本気らしく、尾花さんに抱き着こうと両手を広げた。危機を察した尾花さんは私の手を引き走り出す。
「って何で私まで!?」
「友達だろ!」
「だからって巻き込まないでよ!」
尾花さぁああん、と後ろから追い掛けてくる村上君をみて表情を引き攣らせる。
「あ、理来っ、」
「今はそれどころじゃないだろ!」
Cクラスで友達と話している理来と目があった。彼は私と尾花さんを見るなり目を大きく見開く。
「尾花さ「翔、お前は何してんだよ。」
理来は慌てて廊下に出て、目の前を走り抜ける村上君の腕を掴んだ。
「尾花さ…なんだよ理来かよ。俺は忙しいの!」
「馬鹿だろお前。」
村上君が立ち止まったのを見て、私達も立ち止まる。
「で、何してたの?」
理来は私に視線を向け、冷たく問い掛けた。
「私は別に、」
ただ巻き込まれただけなんです、と言いたかったが尾花さんが握る手に力をこめてきた為に痛みで何も言うことができない。
「…薫(かおる)もこの学校だったんだな。」
理来は尾花さんに視線をうつして、嫌そうな表情を浮かべた。