不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
いまだにバクバクしている心臓を押さえて、はあ、とため息をついた。
…落ち着かない。
もやもやしたまま、休み時間が終わろうとしたとき、同じクラスの女子が興奮した様子で戻ってきた。
「ねえねえ、やばいよね!!」
「かっこよすぎ!尾花かおりちゃんが男の子だったなんて信じられない!」
「え?あの子は薫(かおる)君っていって、かおりちゃんの双子だって聞いたよ?」
「え、そうなの!?」
「まあ、どっちにしてもかっこいいからいいよね〜」
がたん、女子の会話を聞き思わず立ち上がった。
「佐倉君とも繋がりあるみたいだよ!」
「だから似てるんだね。」
どうして気づかなかったんだろ。俺の馬鹿。心に紹介された友達が尾花薫(かおり)と名乗っていたことを今思い出した!
見た目は完全に女だったし、心に友達ができたって聞いて安心してたから気づかなかった。
薫(かおる)は、俺に会うたびに嫌がらせしてきた。今回は、まさか女装して心に近づいたのか?
俺に、嫌がらせする為に?
やっと友達ができた、と安心したような笑みを浮かべていた心を思いだし、怒りがこみあげてきた。
心を利用しようとしてるなら、許せない。
「佐倉、どっかいくのか?」
「心んとこ!」
イライラした様子でそう言う俺を守永は笑ってなにを勘違いしたのか「頑張ってこい!」と言ってきた。