不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
理来が犠牲になるって、どういう事?と聞けば村上君はすこし言いにくそうに、「俺のばあちゃんいけめん好きだから。」と呟く。
「ごめんなー理来。ちゅーまでは許してやって。」
「はあ!?なんで俺がお前のばーちゃんとちゅーしなきゃなんないんだよ!」
「俺のばあちゃんはお前みたいな男に目がないんだよ!理来を触らせなきゃ3万とるって言ってた。...こうなるから俺はばあちゃんの事黙ってたんだよ!」
理来は助けを求めるように私を見て来た。ちゃんと視線をあわせてくれたことに安心する。(そっけない気がしたのは気のせいだったのかな?)
「理来、頑張って!」
「~っ、お前は俺がちゅーしてもいいのかよ!」
「しょうがないよ。除霊のためだもん。」
「あっそ!」
あ、怒った。けどこればっかりはしょうがない。2年生まで幽霊と一緒に過ごすなんてできるわけない。それに、キスの相手が若い女の子だったら嫌だけど相手は村上君のおばあちゃんなのだ。私はいいと思う。スキンシップってことで。
「あ、ばあちゃん。友達が触らせてくれるってさ。うん、わかった。待ってるよ。」
それだけ告げると、村上君は通話を切った。
「今夜来てくれるって!」
「ふーん。」
「何怒ってんだよ理来。」
「べつに怒ってねーよ。このさいキスでもなんでもしてやる。」
「何やけになってるの?」
思わずそう聞けば、理来はキッと私を睨んだ。
「お前は、俺のことどうでもいいんだな。」
「そんなことないよ。」
「あ、もしかして理来は、ここちゃんに ちゅーしてほしくない! って言って欲しかったんだろ?」
にやにやしながら理来を見る村上君。理来は顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。最近、よく理来の顔が赤くなるなあと思いながら苦笑を浮かべる。