不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
私達は学校を出て、村上君のおばあちゃんがくるまで彼の部屋で時間を潰すことになった。みるからにむすっとしている理来に「そう怒るなよ、ごめんって」と村上君が軽く謝っている光景がなんだか可笑しかった。
「そういえば、そろそろ仮入部始まるけど2人はどーする?」
「私は入らないつもり。」
「そっかー。俺も入らないつもり!だって女の子と遊ぶ時間なくなるし?」
村上君らしい理由だった。若干表情をひきつらせれば「帰宅部同士放課後デートしよう!」とか意味のわからない事を言ってくる。軽くスルーして、「理来は?」と問えば彼は「バスケ。」と一言言った。
そういえば理来は中学のころもバスケ部だったなあ、と今更思い出す。彼はこれでも部長だったのだ。
「マジで!?お前その身長でバスケやってけるの!?」
「うぜー。できるよ。」
「ああ、フェロモンで?」
「フェロモンを使ってバスケとか意味わかんねーから。」
だって理来がバスケとか想像できねーし、と素直に思ったことを告げると理来は「高校から推薦くるくらいだったんだからな!」と声を張り上げた。
「どこから?」
「楊高校とか。」
「超名門じゃん!なんでこの高校来たんだよ!」
「家から近いし、それに、まあ、うん。」
「もったいねー。」
少し恥ずかしいのか、理来は一歩前を歩き出した。
*
それから村上君の部屋でゲームをしたり談笑したり、食堂で夕食を食べたりして時間を過ごした。夜の7時をまわったとき、村上君のおばあちゃんから彼の携帯に連絡が入る。
「今から校門前に迎えに行くー。」
嫌そうな、だるそうな声音でそういうと村上君は「きたみたいだぜ。」と言った。