不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。



場所はかわり校門前。目の前には理来や私よりも小さい老婆がちょこんと立っている。見た目は普通のおばあちゃんだ。本当に除霊できるのだろうか?

少し不安になっている私に気づいたのか、村上君はにっこり笑って「腕は確かだから大丈夫だよ。」と言う。彼の優しさに、胸が少しだけきゅんとした。

村上君は変人だけど、やっぱりいい人だなあ。


「翔、少し見ない間に大きくなったのう。」

「え?あの、え?」

おばあちゃんはまっすぐ私を見て告げる。私、村上君と間違えられてる!?軽くショックだ。

「ばあちゃん、俺はこっち。」

「おお。」

そっちにおったのか、とおばあちゃんは村上君に視線を向けた。

「いい加減孫の顔くらい覚えろよ!」

「すまん、どうも記憶力が悪いんじゃ。」

「今まで会ってきたイケメンのことは覚えるのに?」

「ほっほっほ。」

誤魔化すように笑ってから、理来の存在に気付いたおばあちゃんは「ん?」と顔を彼に向ける。

「おぬしが理来か。」

「あ、ハイ。」

「身長が足りないものの、ふむ、合格じゃ。」

「は!?」

おばあちゃんは満足そうにうなずいたあと、「理来は上位にランクインしたぞ。」と村上君に言っている。理来は表情をひきつらせていた。

「とりあえず、寮に案内せい。」

その言葉に、私達は移動を始めた。

村上君と私の一歩後ろをあるいているおばあちゃんと理来から、「ひぅ!」とか「いい尻じゃ。」とか聞こえてくる。


思わず振り向きそうになったとき、村上君が「気にしたら負け。ここちゃん、気にしちゃダメだ。」と必死な顔で言ってきたから振り向くのをやめ、気にしない事にした。(でもちょっとだけ理来が可哀想だと思った)



< 69 / 104 >

この作品をシェア

pagetop