不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
場所はかわり校門前。目の前には理来や私よりも小さい老婆がちょこんと立っている。見た目は普通のおばあちゃんだ。本当に除霊できるのだろうか?
少し不安になっている私に気づいたのか、村上君はにっこり笑って「腕は確かだから大丈夫だよ。」と言う。彼の優しさに、胸が少しだけきゅんとした。
村上君は変人だけど、やっぱりいい人だなあ。
「翔、少し見ない間に大きくなったのう。」
「え?あの、え?」
おばあちゃんはまっすぐ私を見て告げる。私、村上君と間違えられてる!?軽くショックだ。
「ばあちゃん、俺はこっち。」
「おお。」
そっちにおったのか、とおばあちゃんは村上君に視線を向けた。
「いい加減孫の顔くらい覚えろよ!」
「すまん、どうも記憶力が悪いんじゃ。」
「今まで会ってきたイケメンのことは覚えるのに?」
「ほっほっほ。」
誤魔化すように笑ってから、理来の存在に気付いたおばあちゃんは「ん?」と顔を彼に向ける。
「おぬしが理来か。」
「あ、ハイ。」
「身長が足りないものの、ふむ、合格じゃ。」
「は!?」
おばあちゃんは満足そうにうなずいたあと、「理来は上位にランクインしたぞ。」と村上君に言っている。理来は表情をひきつらせていた。
「とりあえず、寮に案内せい。」
その言葉に、私達は移動を始めた。
村上君と私の一歩後ろをあるいているおばあちゃんと理来から、「ひぅ!」とか「いい尻じゃ。」とか聞こえてくる。
思わず振り向きそうになったとき、村上君が「気にしたら負け。ここちゃん、気にしちゃダメだ。」と必死な顔で言ってきたから振り向くのをやめ、気にしない事にした。(でもちょっとだけ理来が可哀想だと思った)