不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。


「この部屋に女が住む事を良く思っておらん。そこの娘、部屋を移動せい。」

「でも、まともに使える部屋がここしかないんです。」

「ここから娘が出て行けば、悪さはしないしもうお主らの前には出ないと言っておる。」

そんなの勝手すぎる。できるなら私だってこの部屋を出たい。けど、他に部屋がないから仕方なく除霊を頼んだのに。困っていると、村上君がぱっと表情を輝かせて私の肩をたたいた。

「ここちゃん!」

「な、何?」

「部屋が無いなら俺の部屋来いよ!俺、1人部屋だし。」

「でも「駄目だ!絶対駄目だからな。翔なんかの部屋に住んだら何されるかわかんねーだろ。」

ムキになって言い返す理来を見て、私はぽかんとする。

「じゃあどうすんだよー。」

「俺の部屋に来ればいいだろ。結構広いし。」

「「え。」」

名案だ、と理来は1人で納得しているが大問題である。いくら幼馴染だからといっても、男と女なのだ。

「理来、それ本気かよ。」

「俺はいつでもほん...き。」

本気、と自信満々に言おうとして理来はやっと自分が言った言葉を理解したのか「俺は翔とは違うから!」と必死に弁解しようとしている。そんな理来を見て私は笑った。理来は理来なのだ。変な心配はする必要ない。


理来は私の事を恋愛対象として見ていない。教室での告白は、なんだかよくわからないものだったし理来も気にしなくていいって言ってた。きっと、家族愛に近い感情を抱いてるんだと思う。うん、それしかない。


「なら、理来の部屋に行こうかな。」

「マジかよ!」

村上君が驚いたように声をあげる。おばあちゃんは「ほっほっほ」と笑っていた。とにかく、もう霊がでてこないのなら安心して寝る事ができそうだ。

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