不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。


場所は変わり、体育館裏。本当に古典的である。今まで同性にこういった呼び出しはされたことがない。私は内心かなり焦っていた。隣を歩く尾花さんはニコニコと笑っていて何を考えているかわからない。


「この辺でいっか。」

突然立ち止まり、女子生徒たちは振り向く。十数人の視線が突き刺さって居心地が悪い。

「わ、私何かしましたっけ。」

自然と敬語になってしまう。


「川村さんは、佐倉君とどういう関係なの?」


「え、」

なんとなく予想はしていたけど、やっぱりそう来たか。この人たちはきっと理来のファンなんだ。どうしよう、なんて言おう。正直に昨日両想いになりましたって言うべき?でも、たぶん付き合ってるわけじゃないんだし。ああ、どうしよう!


返答に困っていると、女子生徒の1人が「彼女、じゃないんだよね?」とおそるおそる聞いてきた。

「...たぶん、違う。あのね、昨日「よかった!なら話は早いわ!!」...え?」

昨日の事を告げようとした瞬間、言葉を遮られた。女子生徒はキラキラした目で私を見てくる。



「私達に協力してほしいの!」



がしぃっ、と手を掴まれ体が硬直した。ええと、どういうことなんだろ。


「私達、乃木君と佐倉君の絡みが見たいのよ!」

ぽかんとして目の前の女子達を見る。


「具体的に、どういう事?」

「乃木君と佐倉君にくっついてほしいの。でも、現実的に無理があるでしょ?だから幼馴染であるあなたに頼んでるのよ。佐倉君とは幼馴染で乃木君に好かれてるっていうおいしいポジションを利用しないわけにはいかないでしょう!」


私、どうすればいいの。隣にいる尾花さんに視線で訴えたが無理だった。彼は何故か目を輝かせて女子生徒の両肩を掴む。


「ぜひ、協力させてください!」


「ぇぇええぇええ!?」



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