不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。


...こいつ、裏切ったな!

「尾花さん、話がわかるじゃないっ!」

「えへへ、私も乃木君と佐倉くん、お似合いだと思ってたんだぁ。(佐倉君と乃木をくっつけるとか面白そう。協力するしかないだろ。いやがらせには丁度いい)」


真っ黒な、意地の悪い笑みを浮かべている尾花さんに女子生徒は気づいていない。なんとなく彼が考えていることがわかってしまい、面倒なことになりそうだと思った。



「で、川村さんはどーする?無理に協力してくれとは言わないけど...。」

「え、と...「心ちゃんも協力するよね。」ええ!?しな「するよな。」

ドスの聞いた声で言われ、冷や汗が流れる。尾花さんの綺麗な笑顔が怖い。「断ったらどうなるかわかってるよな?」「...ハイ、協力します。」


ごめんね理来、私、やっぱり自分の身が可愛いの。本当にごめん。

心の中で謝る。キャーキャー!と嬉しそうに騒ぎ始めた女子生徒達を見て、思わずため息がでた。


「尾花さんも私達と同類だったなんて...」「私達、気があいそうだね。」「かおりって呼んでいい?」「うん。」「私、原田ななかって言うの。」「よろしく、原田さん。」「ななかでいいよー!」「名前で呼ぶの、なんだか苦手なの。名字で呼ばせて。」「そうなんだ!わかったよー。」



ちゃっかりリーダー的ポジションにいた原田さんと仲良くなっている尾花さんはアドレス交換までしていた。


なんだか尾花さん、すごく楽しそう。


「ねえ、尾花さん、そろそろ「心!」...あ。」


はぁ、はあ、と荒い呼吸をしている理来が現れた。走ってきたのだろう。額にはうっすらと汗が滲んでいる。

「あ、じゃ、じゃあ私達教室に戻るわね!2人とも、またメールするから!」

理来を見た瞬間、原田さんとその他の女子は慌てて教室に戻っていってしまった。
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