不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。


「心、大丈夫、か?」

「う、うん。」

「何も、無かったんだな?」

「まあ、あったといえばあったけど...。」

ちらり。隣でニヤニヤしている尾花さんに視線を向ける。理来も彼に視線を向けた。

「...お前、心に何もしてないだろうな。」

「してないよ。それに、今は薫(かおる)じゃなくてかおりなんだけど。」

間違えないでくれる?と言い、可愛らしい笑みを浮かべる。

本物の女の子みたいだ。

「お前、どういうつもりだよ。」

「どうって?」

「女装してるし、心とよく一緒にいるみたいだし。ほんと何考えてんだよ。」

理来は尾花さんの隣にいた私の腕を勢いよく引っ張る。転びそうになったけどなんとか堪えた。「理来、離して。」腕に力がこもってて痛い。離してと言ったのに彼は離してくれなかった。


「心を利用するような事したらただじゃすまさねーから。」

「何言ってんの?俺と心ちゃんはただのトモダチなんだけど?勝手に嫉妬しないでくれるかなー、心ちゃんに興味ないし。」

「ばっ、別に嫉妬とかしてねーよ!」

「じゃあなんで怒ってるの?俺は心ちゃんが呼び出されて心配だからついてきただけだよ。」

やれやれ、と尾花さんは首を左右にふった。男の嫉妬は見苦しいよ、と尾花さんは理来に言う。それを聞いて理来は「だから嫉妬じゃない!」と顔を真っ赤にしてムキになって言い返していた。



「っていうか、心ちゃんと佐倉君って付き合ってんの?」


「「...。」」

その質問に、思わず顔を見合わせてしまった。


「つ、付き合ってるん、だよな?」

「え、あ、うん。たぶん?」

「なんだよたぶんって!お前俺の事好きなんじゃねーのかよ!」

「好きだけど付きあおうって言ってくれなかったじゃん!」

「は?両想いになったんだからいちいち言わなくてもわかるだろ!」

「わかるわけないでしょ!」

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