不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
言い合いをしていると尾花さんはニヤニヤ笑いながら見てくる。その視線に気づき、私はすこし頬を赤くして口を閉じた。
「へえー。」
「な、なんだよ薫。」
「...心ちゃん、佐倉君なんかやめて俺と付き合わない?」
「お前やっぱり心の事好きなんだろ!」
「冗談に決まってんじゃん。すぐ嫉妬する男は嫌われるよ?って、前にも言わなかったっけ。」
完全に理来をからかっている尾花さんは楽しそうだった。
「心教室戻ろうぜ。」
「う、うん。」
「俺もー。」
「お前はついてくんな!」
「だって俺、心ちゃんと一緒なクラスだし?」
「っ~!」
理来は尾花さんと私の間に入り込み、キッと彼を睨みつける。尾花さんは全く気にしていないようだ。
教室に戻る間の沈黙が痛い。何か話題をふろうと思い、私は口を開いた。
「尾花さんって、彼女いないの?」
「何?気になるの?」
「何時も女装してるから、女の子じゃなくて男の子に興味あるのかと「殴るよ?」
私の台詞を聞いた理来は大爆笑である。少しだけ頬を赤くして私と理来を睨む尾花さんを見て悪い事を聞いてしまったような気がして反省した。
「俺、彼女いるから。男に興味ないし、気持ち悪い事言わないでくれる?」
「え、お前彼女いたのかよ。」
「他校にいる。」
「その彼女、女装してるって知ってんのか?」
「知らないんじゃない?」