不運平凡少女が目立つ幼なじみに恋をした。
「もう、用がないなら皆帰りなさい。川村さんには一晩ここで泊まってもらうから。」ご家族のかたにも連絡しなきゃ。と保険医は呟く。
全寮制だから、風邪をひいても家に帰れないらしい(重い風邪は除く)。
「俺も今日、ここに泊まってもいい?」
俺が保険医に言えば、「駄目よ。」と即答される。
「俺、心が心配なんです。」「だってあなた、川村さんの彼氏なんでしょう?」「うん。」「保健室で変なことされちゃ困るわ。」「ッ、は!?何もしねーよ!」
「っぷ。そうだよ佐倉君、いくら心ちゃんが可愛いからって風邪ひいてるのに襲っちゃだめだよ。」
「そーそー。駄目だぞ理来。」
「...。」
「お前ら俺をなんだと思ってやがる!」んなのするか!ただ俺は心が心配なだけだ!ふん、と顔を背けると笑い声が聞こえた。乃木まで声を殺して笑っている。あ、こいつ笑えたんだ。
「~っ、乃木まで笑うな!」「...ッ、ふ、」じとー、と乃木を睨むと突然保険医がパン、と両手をあわせた。
「はい、用がない人は行きなさい。今日から仮入部なんでしょう?」
「ッ、あー忘れてた。理来、いこーぜ。」
「何部に行くの?」
「バスケだけど。あ、尾花サンも来る?」「俺茶道行こうと思ってたけど、どうしよっかな。」「是非いらしてください!」「...うん、面白そうだし行く。」「はぁ?薫まで来るのかよ。」
薫が、どうせ心ちゃんも佐倉君がいるならバスケ部のマネージャーになりそうだし。と呟くと、ぴくりと乃木が反応した。
「乃木は部活入らねーの?」
その問いには答えず、乃木は一度心に視線をうつすと無言で保健室を出て行った。ほんと、よくわからない。