花物語
カタバミさん
きょうはカタバミさんのお話をしましょうね
カタバミのお花の名前を知ったのは
金子みすゞの「かたばみ」という詩だったの
でもそのときはカタバミという名前が
どうしてつけられたのかは分からなかったのよ

 かたばみ

 かけてあがった
 お寺の石だん。
 おまいりすませて
 おりかけて、
 なぜだか、ふっと、
 おもい出す。
 石のすきまの
 かたばみの
 赤いちいさい
 葉のことを。
 ──とおい昔に
 みたように。

カタバミさんはね
小さなすきまさえあれば
そこに根付いて花を咲かせるのよ
そして仲間をいっぱい増やしていくの
小さいけれど元気いっぱいなのね

ポツンとひとりぼっちのカタバミさんがいたらね
少し遠いところから引っ越ししてきたばかりなのね
いまひとりちぼっちで淋しいかもしれないけど
心配しないでいいのよ
すぐに仲間が増えるから

なぜ元気なんだろうね
小さいからかな・・・それもあるかもしれないね
もしかしたら早く寝るからかもしれないね
カタバミさんは夕方になると御ねむの準備を始めるのよ
ハート型の三つの葉を閉じるのよ

半分に閉じた葉が昔の人には欠けた葉に見えたのかもね
欠けた葉、片方になった葉が三枚
それがカタ・バ・ミ・・・となったのかもしれないね
漢字では片喰とか傍食と書くのよ
だからもっとほかの意味があるかもしれないね

『寝る子は育つ』という言葉があるの
カタバミさんは早く寝るからきっと元気なのね
『寝るのが仕事』という言葉もあるわね
これはネコちゃんの話だったかな・・・
それじゃもう寝ましょうね・・・うんと寝て元気になってね
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