現の境界線【短編】
今度はそれまでの夢とは状況が違っていた。

私はベッドの脇に立っていた。

ガラス窓は割れているが部屋は荒れていない。押し入れはまた全然違う場所にある。

これも夢だ。

私の手にはバットが握られており、ベッドには私自身が寝ていた。

今回は私が不審者の役回りのようだ。

ベッドで眠る私自身を見下ろしているとムカムカと腹が立ってきた。

私は私にバットを振りかぶり、思い切り降り下ろした。

殺したところでどうせ夢である。心に抵抗など微塵もなかった。

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